やきもの案内 「中尾山のやきものいろいろ」
「陶磁器」とは「陶器」と「磁器」の総称です。中尾山の「やきもの」も陶器と磁器が有ります。
陶器、磁器とも材料は粘土です。但し、陶器の場合はもともと「土」として存在するもので、有機物を含み有色
(茶色〜褐色)の粘土となります。
磁器の場合は「石」(陶石)を砕いたものや、有機物をあまり含まない粘土からできています。その為ほぼ白色に
近くなります。 中尾山には白岳山(しらたけさん)という山があり、過去には陶石の採掘がされていましたので、
遠くからでも白い岩肌が良く見えました。 今では緑に覆われて白い岩肌は少し見える程度です。
石が土となり、その土が職人たちの技により私たちの生活を彩る器となる。そのすべてを目で見て肌で感じる事が
できる中尾山へぜひお出で下さい。
簡単に「陶器」「磁器」の比較をしてみます。
種類 | 吸水性 | 透光性 | 硬度 | 打音 |
---|---|---|---|---|
陶器 | あり | なし | 磁器より柔らかい | 低く、鈍い音 |
磁器 | ほぼなし | あり | 陶器より硬い | ガラス容器の様に高く澄んだ音 |
【1】 成型
陶土(粘土)から器の形を作り出します。様々な成形方法がありますが、代表的なものをご紹介します。
大量生産は出来ませんが、ひとつずつが異なる味わいの器が出来上がります。
一度ロクロでひいた(形を整えた)生地を型に押し付け形状を作ります。
泥漿(でいしょう)といわれる、ドロドロに溶かした陶土を石膏型に流し込むと、石膏に水分が吸収され、粘土の濃度が濃くなり石膏型の内面に粘土の層が出来上がります。
一時間程した所で中の泥漿を取り除き、粘土の表面が固まるのを待って、石膏型を開き、中の生地(成形されたもの)を取り出します。
【2】 乾燥・素焼き
成形した生地を天日で良く乾かし、粘土が固まった「もろい状態」に強度を付けます。
粘土から成形した生地(粘土から器の形になったもの)は水分を多く含む。水分が残った状態で素焼きするとヒビやひずみが生じて製品の欠陥につながる為、天日にてよく乾かします。
天日乾燥が終わった状態ではクッキーの様にもろく、少しの力でも壊れます。これに強度を持たせるため800〜950℃で素焼きします。
乾燥・素焼き等をを詳しく動画でをみる。
「伝統400年 波佐見焼の歴史と技術vol.2」より
【3】 下絵付け
素焼きした生地に絵具で描画します。下絵付けの後、釉薬を施して本焼きする事により、絵具の発色とその表面を釉薬が薄いガラス状に覆い、高い耐久性が得られます。
素焼きした生地に絵具で描画します。
手書きの他に「転写」「スクリーン印刷」等があります。
絵付け等をを詳しく動画でをみる。
「伝統400年 波佐見焼の歴史と技術vol.2」より
【4】 釉薬
色彩や肌合いといった装飾性だけでなく、汚れ、水漏れ防止の機能も付加する釉薬。波佐見では呉須(藍色)の発色性や焼成温度の条件から透明なガラス状となる石灰釉を多く使用しています。
波佐見では透明なガラス状となる石灰釉(ガラスの素と言える長石などを粉にして液状にしたもの)を多く用いています。
絵付け等をを詳しく動画でをみる。
「伝統400年 波佐見焼の歴史と技術vol.2」より
【5】 本焼成
製陶工程で最も重要な工程となります。
多くの陶磁器は、約1000℃まで酸化炎焼成を行い、次に還元炎焼成に切り替えて温度を上げ、最後は中性炎に近い還元炎焼成で約1300℃の焼成を行います。
焼き方には、大きく分けて酸化焼成と還元焼成があります。 酸化焼成は、炎に対して空気を多く青っぽい炎で焼くもので、 還元焼成はその反対に空気を少なくして赤黒い炎で焼くものです。 窯の大きさにもよりますが焼成時間は十数時間となります。
【6】 検品
完成した商品を検査します。
完成した商品は釉薬のキズ、焼成時の歪みなど熟練した職人さんが目視でチェックします。磁器の場合、軽く叩き合わせる事で音による微細なヒビもチェック出来ます。検品を通過すると商社や契約店舗に卸されるほか工房併設のショップにも並べられます。